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​第3話 お嬢様のオシオキ

 

剣や魔法がこの世の理を支配する世界での物語・・・。

 

お嬢様の城には数百人のメイドが働くが、その大半は下級メイドである。

領地の村から「税」として集められてきた彼女達は、「多忙」なお嬢様に代わってお嬢様の好みを知り尽くしたメイド長によって最終の採用可否が決定されるため、(運悪く)採用となった者は自らの主の姿も見たことが無いまま働き始めるのが通例であった。

 

巨大な城の中で、お嬢様の生活スペースは一部であり、また直接世話をするのは―命がいくつあっても足りないからという理由で―中級メイド以上に限定されていたため、お嬢様が自らメイドの生活スペースに繰り出さない限りは遭遇することの方が稀であった。

 

下級メイド達は、自らが雇われている「本当の理由」も知らずに、誰も使わない応接間の埃を払い、無人の廊下の窓を拭いて毎日を過ごしていた。

もっとも、彼女達は掃除や洗濯といった比較的楽な軽作業を行っているだけで毎日美味しい食事にありつくことができ、自由時間は同年代の女の子と戯れていれば良かったため、割の良いアルバイトぐらいに思っていた。

ある日忽然と同僚の姿が見えなくなることに関しては、急な事情で田舎に帰ったと教えられており、まさか自分が毎日死と隣り合わせの生活を送っているなどとは露程も知らないのである・・・。

 

 

* * * * *

 

 

そんな数多いる下級メイドのうち2人が、ゴーレム―力仕事はうら若き乙女ではなくゴーレムに任されていた―が倉庫に運び込んだ大きな木の箱を前に立っていた。

 

1ヶ月前に働き始めた彼女達は、他のメイドとも打ち解けることが出来、仕事にも慣れてきた余裕から、城がどのような様子なのか知りたくなってきたのであった。

下級メイド達が普段暮らし、働く棟とお嬢様の生活スペースである棟は分かれており、メイド長からは他の棟には無闇に立ち入ることのないよう命じられていた。

 

だが、怖いもの知らずの2人は冒険という名目で侵入したのである。

そして片っ端から部屋を覗いていく中で見つけたのが、倉庫に運び込まれた沢山の大きな木の箱だった。

 

「これって何かな?」

大きな胸に目の行く、発育の良いメイドが言った。

17歳の彼女はまさに女の子の真っ盛りであり、住んでいた村ではすれ違う男全員が振り返る程の魅力的な身体を持っていた。

「なんだろうね?」

大人しそうな小柄なメイドが答える。

同じく17歳の彼女は打って変わって幼さの残る顔つきに相応な控えめな肉付きだったが、意外と着痩せするタイプというのが周囲の評である。

彼女は半ば乗せられて城内探検に繰り出したのであった。

「開けてみようか」

「やめなって・・・。メイド長にバレたら大変だよ」

「へーきへーき!今日一日出掛けてるみたいだし」

そういうと大きい方のメイドは木箱の蓋を開けた。

 

「何だろうこれ・・・」

中にはぎっしりと肌触りの良い布で作られた何かが入っていた。

一つ手にとって見ると、見慣れた形のものである。

「これってもしかして、パンツ?」

「ええっ!?ホントだ・・・。おっきすぎて何だか分からなかった」

そう言いながら引っくり返したり腕を通したりする2人。

確かにそのパンツの大きさは尋常でなく、覗き込んだ2人の頭がすっぽり収まってしまう程のものであった。

縁には可愛らしいフリルがついており、遠目に見れば可愛らしい女の子の下着であったが、サイズだけが異常である。

 

「これってお嬢様のパンツじゃないかな・・・」

「え?でもお嬢様って子供って聞いたけど・・・」

「実はね、あたしちょっと前にお嬢様のこと見かけたことあるの」

そう言うと、発育の良いメイドは話し始めた・・・。

 

 

* * * * *

 

 

シャルロッテは可愛い女の子が何よりも好物である。

自分の毒ガスで苦しめるのは勿論だが、美少女だけの楽園を作ってその様を眺めているのもまた至福の時だった。

窓の外を眺めると、休憩時間のメイド達が何やら球技に興じている。

人間の遊戯には疎い彼女だったが、美少女達があられもない姿で球を追いかけ回す姿はいつ見ても目の保養になる光景だった。

 

飽きることなくメイドの遊戯を眺めていたお嬢様だったが、ふと、階下に感じ慣れない気配を察知した。

敏感な魔力感知能力も持つ彼女にとって、周囲に誰がいるか把握するぐらい造作のないことである。

メイド長や上、中級メイドではないとすると、恐らく迷い込んだ下級メイドだろうか。

 

何だか面白いことが起きる予感にお嬢様は部屋を出ると、気配に向かって歩き始めた。

 

 

* * * * *

 

 

「確か2週間前ぐらいだったと思うんだけど、1階の窓拭いてたらね、目の前をお嬢様が通ったのよ」

「それ本当にお嬢様なの?」

「メイド長が付き添ってたから間違いないと思うよ。でね、確かに12歳ぐらいの女の子だった」

「じゃあやっぱりお嬢様のパンツじゃないんじゃ・・・」

「違うんだって!その時あたし見たんだけどね、お嬢様のお尻、めちゃくちゃデカいの!!」

「子供なのに・・・?」

「そう!腰までは普通の女の子と同じなんだけどね、そっから下が一気にボーン!!!って感じなの!!!」

「そ、そうなんだ・・・」

「ホント凄いんだって。ウエストの2倍ぐらいお尻あったと思う!太もももあたしの腰ぐらい。だからこのパンツ、お嬢様が特注してるんじゃないかな。女の子用でこんなおっきいパンツ普通に売ってないもんね!いやー、1つこの城の謎を解き明かしちゃったね!巨大パンツの正体は、お嬢様のデカ尻用特注パンツでした!!」

「そ、そのぐらいにしとこうよ。そろそろ戻らない・・・?」

先程から謎の悪寒に襲われている小柄なメイドに窘められても、発育の良いメイドは止まる様子は無かった。

「でも見たらホントびっくりすると思うよ!そんな立派なお尻なのにね、胸はぺったんこなの!!お尻についたお肉の半分でもいいから胸に行ってたら凄いナイスバディだったのに勿体無いよねー」

「・・・」

「今度こっそり見に行ってみようよ!あたしが言ってること大げさじゃないって分かるからさ!」

 

「あら、こっそりじゃなくてもいいのよ」

 

「「~~っ!!!!!!!!!!」」

 

まったく気配を感じさせず、背後から声を掛けたのはお嬢様本人だった。

2人の背後で腰に手を当てて仁王立ちする彼女は、確かにメイドの言う通りの体型で、薄手のワンピースの臀部は巨尻によってこれでもかというほどむっちりと持ち上げられており、12歳前後に見えるロリータフェイスとそれに相応な上半身とは全く相反する存在感を放っていた。

 

「お、お嬢様・・・いつからそこにいらっしゃったんですか・・・?」

「貴女達が私のパンツを見てたとこからよ」

「ももも申し訳ございません!!!決してお嬢様のことをバカにするつもりは・・・」

発育の良いメイドは必死に謝りつつも、あーあ、これでクビかな、などと呑気なことを考えていた。

しかし、お嬢様は微笑みを湛えたままこう言った。

「別に良いのよ。私のお尻がおっきくて、胸がち、ちっちゃいのはホントなんだから」

「「・・・」」

「でもね、人の陰口言ったらオシオキ!っていうのがここのルールなの。だからついてきて!オシオキ部屋にご招待☆」

 

中級メイド以上であれば、このお嬢様の微笑みにどれだけの恐ろしい怒りが隠されているか、見ただけで卒倒するシチュエーションであったが、無知なメイド2人は雑巾がけ一日とかだったらしんどいな、などと考えていた。

 

 

* * * * *

 

 

2人が通されたのは、大きなベッドやソファ、本棚以外のものはあまり置かれていないが、天井に大きな穴の空いた風変わりな部屋であった。

 

「あの、お嬢様、私達は何をすればよろしいでしょうか・・・」

恐る恐る尋ねるメイド。

「2人ともそこに跪いてね。で、貴女にはちょっとおまじないを掛けておこうかしら」

そう言うと、お嬢様は大きい方のメイドに指を向け、何やら魔法を掛けた。

自分が何か許されざる存在になってしまったような、そんな恐ろしい感覚に襲われると、メイドはすっとその場に座り込んでしまった。

「これでよし、っと。貴女の番は後だから、そこで少し待っててね」

そう言うとお嬢様は小さい方のメイドに向き合った。

 

「貴女は、どっちかというと、巻き添えみたいね」

「・・・」

「だから、楽な方のオシオキにしたげる」

話しかけながらスルスルとワンピースの裾をたくし上げるお嬢様。

顕になった大きすぎる尻を小柄なメイドの顔の前に突き出す。

「私のお尻、おっきいでしょ。ちょっと気にしてるんだけどね、とっても柔らかくて気持ち良さそうだと思わない?」

「はい・・・」

「触ってみて」

メイドの手を握ると、自らの臀部に誘導するお嬢様。

メイドが恐る恐るその尻に両手で触れると、ひんやりとした尻肉はどこまでも柔らかく、指先が沈み込むような感触である。

一瞬にしてその虜となったメイドは、脂肪の乗りすぎた巨尻を揉みしだき、次第に顔を埋める程に近付けていった。

「ね・・・凄く気持ち良いでしょ・・・。おっきいお尻って、こんな良いことあるんだよ・・・」

夢中になったメイドは、聞いてか聞かずか遂に尻に完全に顔を埋めてしまった。

「私のお尻、触って気持ち良いっていう以外に、もっと役に立つの・・・」

そう言うと、お嬢様は臀部に顔を埋めるメイドの後頭部を軽く押さえた。

尻の谷間にすっぽりと収まったメイドの顔を見てお嬢様は満足そうに微笑む。

「ね、もう逃げられない」

 

そして、地獄の門が扉を開けた。

 

「んっ」

 

ッボバフウウゥゥッッッ!!!!!!!!!!!!

 

突如、乾いた爆発音が部屋に響き渡る。

それは紛れもなく、お嬢様の放屁だった。

その臭いは、1週間前に食べた大量のステーキや、2週間前に食べた大量の卵料理の全てが腸内で腐敗し、熟成し、圧縮された最悪の悪臭であった。

 

巨尻から放たれた膨大な量のガスは、メイドの顔面を襲い、髪を靡かせ、肺を犯し、一瞬にして絶命させた。

 

お嬢様はバタリと倒れ込む亡きメイドの顔の上にそのまま座ると、

「おやすみ☆」

と言って更に

 

ブッスゥゥゥゥゥ・・・

 

と追撃を放ち、スカートをパタパタと煽った。

 

「はい、楽なオシオキは終わり」

もう一方のメイドに向き合うお嬢様。

 

数秒の間を置いて、呆気にとられた発育の良いメイドのもとに、そのガスの臭いが届いた。

 

「むぐッ!?!?な・・・なにコレっ!?」

むせ返るメイドにお嬢様は

「何って、オナラに決まってるじゃない」

と平然と言うと、既に亡骸となったメイドの顔面の上でゆさゆさと重い尻を揺らしながら

 

ブッ!ブゥゥッ!・・ブスッ!

 

と小刻みに放屁を繰り返した。

 

「この子、結構座り心地はいいのね。惜しいことしたわ!」

とちっとも惜しくなさそうに言うお嬢様に対し、メイドは一発毎に濃くなっていく部屋のガス濃度に、ただただ耐えるのみだった。

「そーんな顔しないでよっ。ほら、深呼吸してごらん?」

お嬢様はそう言うと、スカートの裾で必死に口や鼻を抑えているメイドにゆっくりと近付くと、くるりとメイドの方にその大きすぎる尻を向けた。

「ひぃっ・・・」

恐怖のあまり床の上を後ずさりするメイド。腰が抜けて、立ち上がって逃げることすらもはや不可能だった。

そんなメイドを追いかけることもせず、メイドが壁際まで勝手に追い詰められるのを待つと、お嬢様はまさに『屁っ放り腰』になり、メイドの顔を振り返りつつ言った。

「それじゃ、まずは一発目!・・・んっ」

 

ぶぼおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉッッッ!!!!

 

窓ガラスがビリビリと揺れる程の重低音が響き渡り、お嬢様の尻を申し訳程度に覆うスカートの布がブワッと翻った。

次の瞬間、3m程離れた場所にいるメイドの顔に髪が靡くほどの生暖かい風が吹き付けられた。

 

「ゴホッ・・・ケホッ!!くさ・・臭いよォ・・!!ゴホゴホッ!!!」

猛烈な悪臭に覆われ、吐き気や目眩を催すメイド。直接自分に向けて噴射されたその毒ガスは、先程とは比べ物にならない臭いである。

「そんなに臭いかなー?私はちょっとスッキリしたけど!!」

毒ガス地獄の中で、下腹部をさすりながら1人満足気なお嬢様。

「でも、貴女が生きてられてるのは私のお陰なんだからね」

「・・・」

「貴女に最初におまじないかけたでしょ。あれ、不死のおまじないなの。あれがなかったら、今頃貴女5回は死んでるわよ?」

壁際で瀕死の虫のようにうずくまるメイドを見ると、お嬢様は興醒めしたのか、大きなソファに腰を掛けた。

「ま、いいわ。今晩はこの部屋で貴女と一緒に過ごすことにする!私、オナラ溜まりやすい体質だから、遠慮せずに出しちゃうけど、許してねっ」

ペロッと舌を出してはにかんだ顔をするお嬢様は、この世のものとは思えない程の可愛らしさだったが、勿論内心は全く遠慮の心など無かった。

 

 

* * * * *

 

 

それから数時間、メイドはお嬢様の『普通な』部屋での生活を共有した。

お嬢様は最近、人間の書物を読むのにご執心である。無限に時間のあるお嬢様にとって、世界中の言語をマスターすることは容易だった。

世界の各地から集められた書物を、大きなソファで、時に座りながら、時に寝っ転がりながら読み耽るのである。無論、その間もお嬢様の腹の中では、無尽蔵に毒ガスが生産されていた。

 

傍から見れば人形のような美少女が読書に耽っているようにしか見えないが、ふと何の前触れもなく大きな尻の片側を持ち上げると

 

ブリリリィッ!!!

 

と下品な音を響かせたかと思えば、うつ伏せで読書をしながら

 

ぶぅ~~~~ぅぅぅ~~~~~ぅぅぅぅ~~~~~~~~~~・・・・

 

と数分間にも及ぶ長屁をかましたりもするのである。

 

そして極めつけは、無意識のうちに放たれる特濃スカしっ屁であった。

 

スゥーーーーーーッ・・・・

 

という衣擦れのような音は、お嬢様から一番離れた部屋の角で震えているメイドには届かなかったが、その特に強烈な臭いは何の予告もなくメイドの鼻腔を犯した(と言っても、音が聞こえて覚悟したところでその臭いが耐え難いことに変わりはなかったが)。

 

スカしっ屁は流石に自分でも臭いのか、放屁後少しするとお嬢様は決まって少し顔をしかめると、持っている本や書類でパタパタと尻の辺りを扇いだ。勿論メイドの方に、である。

 

 

* * * * *

 

 

そんな地獄のような(お嬢様にとっては何事もない平凡な)数時間を過ごした後、ふとお嬢様が時計を見ると、そろそろ就寝の時間である。

「あら、もうこんな時間」

部屋の隅っこで震えるメイドに目を向けると、最早咳き込む力もなく、ただ瀕死で嗚咽の声を漏らすだけだった。

「私のかけたおまじない、毒とか怪我とか、色んな耐性もすごーく付くはずなんだけどな。貴女が弱すぎたのかしら。それとも私のオナラが臭すぎ・・・?」

そう言いながら、ちょっと嬉しそうなお嬢様。

「・・・臭い・・・・臭い・・・・・・・」

「もう相当やられちゃってるわね。貴女、反省しているっていうなら、許したげないこともないわよ」

「・・・本当ですか・・・?」

「ホントよ。でも、一晩私と一緒に寝たらね!」

メイドの顔に絶望の色が浮かんだ。

 

そんなメイドを尻目にお嬢様は巨大なベッドに飛び乗ると、掛け布団をめくり、うつ伏せ員なった。

「私いつもうつ伏せで寝るんだ。仰向けだとお尻のせいで腰浮いちゃって眠りにくいのよね。それにうつ伏せの方がガス抜きしやすいし!」

その姿を虚ろな目で眺めるメイド。

「ほら、何やってるのよ。貴女は一晩、私のお尻を枕にして寝てもらうわ。私の目が覚めたら、それで終わりにしてあげる」

そう言うと、お嬢様は豊満すぎる尻をペしんと叩いた。

メイドはゆっくりとベッドに乗ると、お嬢様の太ももに挟まる形でうつ伏せになり、バルン!と揺れるその尻に顔を埋めた。

「むぐぅッ・・・!」

メイドがバカにした特注パンツは今やお嬢様のガスをたっぷりと吸い取り、凄まじい悪臭を放っていた。

「そうそう、そんな感じ。じゃあ固定するね」

お嬢様がそう言うと、メイドの首、腕、腰に帯状の魔法陣が浮かび上がり、一瞬にしてメイドの体を固定した。

その姿を確認すると、お嬢様は分厚い掛け布団を二人の体に掛け、指をパチンと鳴らして明かりを消した。

 

「んじゃ、おやすみ!あ、言ってなかったかもしれないけど、私こんな体質だから、寝てる間にもどんどんガスが溜まるみたい。それでね、溜めきれなかった分はどんどん出しちゃってるみたいなの。もう2週間ぐらいお通じなくて、臭いも量も結構凄いと思うけど、なんとか一晩頑張ってね!」

メイドの長すぎる夜が始まった。

 

 

* * * * *

 

 

メイドの視界は全てお嬢様の尻に覆われている。

柔らかさと弾力を兼ね備えた巨尻は、その谷間にメイドの顔をすっぽりと収めてしまった。

むっちりとしたその尻肉は極上の触感だったが、その肉付きのせいか布団の中で若干汗ばんだ尻は今なお悪臭を放ち続けるパンツと相まって、不快な悪臭の蒸し風呂を生み出していた。

加えてウエストほどの太さのあるお嬢様の太ももがメイドの体に密着しており、分厚い掛け布団の下でメイドも徐々に汗ばんでいた。

 

しかし、そんな不快感に苛まれるような心の余裕すらメイドにはない。

彼女は言わば、顔面に銃口を突きつけられた死刑囚である。

お嬢様の放屁の前兆を捉え、少しでも息を止めていようと回らない頭で考えていた。

 

規則的な寝息を聞くと、お嬢様はすぐに眠りについたようである。

お嬢様の寝っ屁が自分の言う通りであれば、無意識に放たれる可能性が高い。

しかし、あくまでそれは「溜めきれなかった分」とのことである。

お嬢様の腸は無尽蔵のようだし、出るとしても何発かだろうから、この一晩を何とか耐えきれば、解放されるんだ、とメイドは自分を奮い立たせた。

 

就寝から10分ほどした時、お嬢様の下腹から

ゴポポッ・・・グルルルル・・・

という鈍い音が聞こえた。

放屁の前触れである。

そして、大きく息を吸って備えるメイドの顔面に、地獄の釜の蓋を開けたかのような毒ガスが吹き付けられた。

 

ブブッ・・ブゥゥ~~~~ゥゥゥ・・・・バスゥゥゥッ・・・

 

意図的に出したオナラと違い、純粋に溜めきれなくなった「ガス漏れ」は勢いのないスカし混じりの重低音で数十秒続いた。

メイドの顔中を舐め回すかのようにじっとりとした温風が覆う。

ガスの放出が止まると、息を止めることに耐えきれなくなったメイドは大きく息を吸った。

「すぅ・・むぷっ!!!ゴホゴホッ・・!!!」

当然、放たれたばかりの毒ガスは一切薄まることがなく、布団の中にメイドの全身を包み込みながら充満している。

息を止めるという無駄な努力は、その後一気に息を吸うことでよりダメージを増幅する結果に終わった。

お嬢様の蒸れた尻、そして布団に充満する生暖かい毒ガス・・・。

まさに地獄絵図だった。

 

苦しみ悶えながらオナラが少しでも薄まるのを待つメイドの耳に、絶望の音が聞こえた。

 

キュルルル・・ゴロゴロゴロ・・・

 

再びお嬢様の腹鳴りである。

「嘘でしょ・・・!?さっき出したばっかりなのに・・・!」

驚愕するメイドの目の前で、容赦なく毒ガスの噴出孔が口を開けた。

 

ふすぅぅ~~~~~~~~~~ぅぅぅ~~~~~~~・・・パスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ プシュウウウッ・・・ぶすぅぅぅぅぅ・・・

 

二度目の寝っ屁は先ほどとは比べ物にならない長さで続いた。

無駄な努力と知りながら息を止めていたメイドは、いつまでも終わらないガスの放出に堪らず息を吸い込んだ。

即座にメイドの鼻に直結したお嬢様の尻から毒ガスが注ぎ込まれる。

「ムグゥゥゥゥっ!!!!!」

必死に顔を尻から離そうとするメイド。

しかし、巨尻にすっぽりと収まった顔は魔法陣で固定され、微動だにしない。

あっという間にお嬢様のオナラはメイドの肺に充満し、体中を毒ガスで蒸し上げた。

 

~~~~~~すぅぅぅ・・・・ ぷすぅ~

 

数分間に及ぶ放屁を終えると、お嬢様は

「んぅ・・・」

と気持ち良さそうな声を漏らした。

パンパンに張った腹が一時的に解消され、本人はさぞかし気持ちの良いことだろう。

お嬢様は一度寝ると起きないタイプらしく、メイドが自分の尻の上でもがいていても眠りから覚める様子はなかった。

 

毒ガスの海の中で溺れるメイドは、もはやもがく力も咳き込む力も失っていた。

ぼんやりとした思考の中で、自分が火山の噴火口に近くにある肥溜めの中に閉じ込められているイメージだけが浮かんでいた。

 

ゴロロロロ・・ゴポッ

 

またしてもお嬢様の腹からガスが移動する音が聞こえた。

メイドは今更ながらお嬢様のガスの溜まりやすさを大幅に見誤っていたことに気付いた。

お嬢様の腹は無尽蔵のガスタンクではあるが、それを上回る速度でガスが溜まっているのである。

自ずとお嬢様の腹はいつもパンパンで、膨らみきった風船のような状態になっている。

意識のある時はそれでも風船を更に膨らませるように腹に溜めることが出来たが、無意識の今は発生したガスがそのまま漏れ出ているのである。

覚悟する暇も与えず、メイドの鼻に追撃が注ぎ込まれた。

 

ぶっすうううぅぅぅぅ~~~~~~~~・・・~~~~~~~~

スカァァーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

次の放屁は数十分に及んだ。

メイドには一瞬たりとも休息は与えられなかった。

お嬢様が放屁を終えると、瞬時に次のガスが充填されて腹鳴りがそれを知らせる。そしてそのガスは躊躇なく尻からメイドの顔に向けて解き放たれるのである。

 

こうして一晩中ガスの充填→放出のサイクルは続いた。

お嬢様の放屁を吸い続けたメイドは、もはやほとんど息もしていなかった。

腐り果てた肺は機能を果たさず、体中の皮膚は毒ガスで染め上げられていた。

しかし不死の呪いにより文字通り虫の息で辛うじて生存だけはしていた。

朝が来れば・・・。

どこか遠くで聞こえる雄鶏の鳴き声が、メイドに微かな希望をもたらした。

 

 

* * * * *

 

 

「ん~~~っ!もう朝かぁ・・・」

お嬢様が目を覚ました。

尻の上に乗る顔の感触でメイドの存在を思い出すと、魔法陣を解き、布団を捲って起き上がった。

捲りあげた布団から、下級メイドが数十人昇天するようなガスがもわぁっと立ち上った。

「何これぇ・・くっさぁ・・・!」

自分の放屁に顔をしかめるお嬢様。

一晩中出し続けたオナラが充満した布団は本人にとっても耐え難い悪臭だった。

 

お嬢様は、うつ伏せで倒れほとんど息をしていないメイドの方にぺたんと座って向き合った。

「こんなくっさい中に閉じ込められてよく頑張ったわね!さっすが私のおまじな・・」

 

ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!

 

喋っている最中にも、スカートを捲りあげるほどのガスが放たれる。

「あら失礼!お腹が動き始めたのかしら」

ぺろっと舌を出してはにかむお嬢様。

特大放屁により新鮮な毒ガスが部屋を覆い、それは即座に瀕死のメイドの鼻にも届いた。

「・・・んぐぅ・・・・・・」

もはやうめき声を上げることしかできないメイド。

 

そして信じられないような言葉がメイドを襲った。

「じゃあ、最後の仕上げ。人間ブランコになってもらうわ。最悪のぷす~が出る気がするの」

最後の力を振り絞ってメイドは口を開いた。

「で・・でもお嬢様・・・・一晩耐えたら・・・・許してもらえるはずじゃ・・・」

「え、私そんなこと言ったかしら?まあ、そんなことはどうでもいいわ」

呆然として動かないメイドの手に、黒々とした魔法の枷が音もなく嵌った。

ちょうど床に跪くような形で拘束されたメイドの顔面に、お嬢様が容赦なく勢いをつけて座り込む。

「むぷっ!!」

同じ尻でも今度は顔の上である。

普通の12歳ぐらいの女の子が顔に乗ったぐらいであれば、メイドも首が痛いぐらいで済んだかもしれない。

しかし、『メートル』単位で図るのが相応しい巨尻を持つお嬢様の体重は平均的なそれより遥かに重く、メイドの首は折れる寸前、枷で繋がれた腕もギシギシと軋んで千切れる寸前となった。

ずっしりとした巨尻が顔の上に乗ると、顔を埋めていた時より遥かにピッタリとメイドの顔に密着した。

勿論、尻穴はメイドの鼻に直結している。

 

「貴女、私の体型のこと、バカにしたでしょ」

メイドに話しかけながら、尻をメイドの顔に押し付ける。

「すっごいムカついてたんだから!!!」

 

実は、お嬢様は自分のアンバランスな体型をかなり気にしていたのである。

有り余るほどの巨尻はコンプレックスである一方、少し自慢だったりもするのだが、その尻に見合わない貧相な胸はお嬢様に大きな劣等感を抱かせていた。

このため、巨乳のメイドに貧乳巨尻の体型をバカにされたことが何よりも腹立たしかったのである。

 

「一晩中私のオナラ嗅いでたと思うけど、あんなの『屁でもない』って感じのやつをこれからするから、覚悟してね!」

そう言うとお嬢様はポコンと張った下腹をさすった。

それに応じるかのように、下腹からゴロロロロ・・・という重低音が響く。

「貴女がずっと嗅いでたオナラは、何ていうのかな、上澄みみたいな感じ?今からするのはね、ドロドロで最悪のスカしっ屁なの。今まで食べたお肉とか卵が、みーんなこの中に溜まって毒ガスになって、ギューって凝縮されてるって感じかな」

お嬢様の顔が、嗜虐心に満ちた笑みで歪んだ。

 

「じゃあ、死んじゃえ」

 

む゙っすうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~ゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄の門が開かれた。

その毒ガスは、既に腐り果てたメイドの肺を更に腐らせ、喉を焼き、顔を変色させた。

ほぼ無音で放たれたその毒ガスは、しかしお嬢様の体内で生成されたオナラだった。

肉食獣の糞便の肥溜めの中に腐った卵を投げ込み、ドブ川で熟成させたような凄まじい臭い・・・。お嬢様にとってはそれでも自分が放った一発のオナラに過ぎなかった。

 

しかしそのこの世のものとは思えない臭いと毒性は、不死の呪いを掛けられたメイドすら死に追いやったのである。

数十秒のスカしっ屁を終え、お嬢様がメイドの顔から尻をどけると、そこにはかつての姿は見る影もないメイドの亡骸があった。

不死の呪いは確かにあらゆる傷や毒に対し驚異的な耐性を与えるが、それでも体が真っ二つになったり、燃やされて灰になってしまえば復活することはない。

完全な不死身とは異なるのである。

メイドが鼻に注ぎ込まれた毒ガスは、そんな絶対的なダメージを与えるものだったのだ。

「あースッキリした」

お嬢様は怒りをぶつけたこと、そして腹の底で煮えたぎる毒ガスの一部を放出したこと、その両方に対してそう言うと、流石に新鮮な空気を吸いたくなったのか、ドアを開けて部屋の外に出た。

 

一瞬開いたドアの隙間から漏れ出た部屋に充満するお嬢様のオナラが、同じ棟の階下にいたメイド約20名の命をあっという間に奪ったことは、お嬢様の知る由もなかった・・・。

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